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研究室スタッフ:

島津洋一郎教授、奈良林 直 教授、辻 雅司 助教授


担当科目: 大学院: 原子炉物理特論、エネルギー管理工学特論
学部: 原子炉工学、エネルギー工学概論、 地球環境問題と原子力技術・倫理(全学教育) コンピュータ演習、計測工学実験、工学的創成実験(全学教育)、 テクニカルイングリッシュ



1.研究室の目標


エネルギー資源を持たないわが国が、文化的で安全な社会を維持していく上で、地球に優しく安定したエネルギー源の確保は不可欠である。地球温暖化による異常気象の顕在化、中国・インドなどの経済発展による石油高騰など、迫りくる課題を最も確実に解決できるエネルギー源は、化学反応の100万倍以上ものエネルギー密度を有する核分裂反応を利用する原子力である。




原子力発電所の普及には、安全思想の上に立って高い信頼性と安心感を獲得する必要があり、この観点から、当研究室では核分裂炉の有効活用と普及を主眼に、将来の外惑星探査や海洋開発も視野に入れて各種の研究を続けている。


 



2.エコエネルギー供給用小型次世代炉開発


近年、世界各地で見られる異常気象や、原油価格の高騰を考えると、クリーンなエネルギーである原子力の有効利用を更に進展させる必要がある。とりわけ、我が国に於いては気候学分類上の「北方圏」に属する北海道が先頭に立ってこの困難を克服し、エネルギー政策のモデル地区となるべきであると考え、我が国の国家戦略の1つである、「原子力立国」の「要」の1つとなるシステムを目指して研究開発を推進している。



安全性に優れた都市近接設置の熱電併給小型原子炉の炉心、例えば、被覆粒子を利用する小型加圧水型軽水炉(PWR)、プルトニウム及びトリウム資源の有効利用を推進する溶融塩炉などである。 特に、熱電水素供給用の多目的エコエネルギー供給用小型次世代炉の開発は特に早期適用を目指して次運転実績のある原子力船むつの炉心をベースに最新の燃料技術を採用している。道内では約3000〜15000世帯程度の町が散在しており、冬季の熱需要を想定すると熱出力は約30〜150MWthとなる。 原子炉圧力容器を開けて行う燃料交換は人手もかかり、このような中都市では人的な負担が大きいことから、燃料を一括交換可能な密封式カセット式炉心とした。これは定検時の原子炉停止期間を大幅短縮が可能である。北海道と同様に北方圏に属するフィンランドのオルキオト発電所の地域住民にとって原子力発電所は大切で、原子炉の停止期間を最小にするため、徹底した状態監視保全とスペアパーツの準備など様々な工夫が成されている。本研究においてはこのような海外実績に加え、カセット式炉心の採用により、原子炉の停止期間3日を目指す。炉心は約10年間燃料交換なしで運転できる。機械知能高度保全システムを取り入れ、原子力発電所が1つの巨大発電ロボットとして自ら異常検知と安全・安定運転維持機能を有する。




 


3.原子炉発電所の運転制御の安心・安全を支援する研究


原子力発電所を安全で効率よく運転し制御するためには、原子炉の運転制御上の特性を知り、現在の運転状態を正確に把握する必要がある。この分野の研究では、BWRの一定出力状態の中性子検出器応答に含まれる炉雑音信号から安定性の指標である減幅比を推定する手法の開発や、PWRの減速材温度係数やドップラー係数を動特性同定法によって推定する手法の開発を進めている。特にドップラ係数の推定では、世界で初めて商業用発電所のドップラ係数の推定に成功した。 原子炉運転操縦法の高度化研究では、簡便でしかも極めて実用性に富むキセノン振動制御法を提案し、高い評価を受けている。将来のエネルギーを担う原子力分野の研究者や技術者を育成するための教材開発を精力的に進めており、原子力発電プラントの運転シミュレータや臨界実験装置シミュレータの開発を行い、インターネットネットを通じて公開している。 また、最新の信号プロセス処理理論やニューラルネットワークなどのソフト・コンピューティング手法を利用したBWRの安定性診断などの研究なども進めている。



バーチャル原子炉 自己組織化マップによる
BWR安定診断


 





4.原子力推進惑星間航行用大型宇宙船の開発


将来の外惑星である火星への人類の移住を想定した原子力推進宇宙船の開発計画が米国NASAで推進されている。外惑星や太陽系外の深宇宙への航行には、長期に亘る航行を短縮するためにイオンエンジンやプラズマ電磁圧縮推進エンジンを用いて光速に近い速度まで全長約200mの巨大宇宙船を加速する必要がある。本研究では、長期に亘って高い出力を得ることができる液体金属ナトリウム冷却高速炉を高温源とし、24基のスターリングエンジンを作動させて、直径約50mのラジェターパネルから宇宙空間に輻射で排熱する発電システムの成立性検討を行っている。




この研究成果を国際会議で発表した当研究室の吉田君が、米国機械学会から優秀な論文発表としてBest Paper Awardを受賞した。 当研究室の方針として優秀な研究成果を上げた学生は修士終了時までに海外で開催される国際会議での発表や海外の大学への派遣を推進している。


 





5.主な研究設備


高温高圧蒸気水二相流発生装置、バーチャル原子炉シミュレーター、液滴衝撃エロージョン試験装置、宇宙用原子炉発電システム伝熱実験装置、スターリングエンジン(出力3kWe)





 



6.教育


原子炉工学

原子炉の基礎を学んだあと、Project Based Learning (PBL) のプロジェクト演習形式で各グループに分かれて熱電併給用小型原子炉システムを設計する。






原子炉物理特論

拡散方程式を差分化してFortranで2群2領域の臨界計算や原子炉の1点近似動特性方程式を数値解析するなど、教科書に書かれている原子炉の物理現象を自ら数値解析してプログラミングしながら学んでいく。併せて世界で開発中の革新的原子炉や最新の炉心設計コードを学ぶ。





エネルギーシステム管理工学特論

原子炉の核設計の妥当性と安全性を確認、核設計上の主要なパラメータ、燃料取替え後の起動時に行われる零出力炉物理試験、出力上昇中に行われる出力試験、キセノン振動特性の確認と抑制、燃料管理や燃料サイクルコストなどについて、実機原子炉を例に、エネルギーシステムとしての安全性確保・炉心管理の観点から学ぶ。







 



7.アワード


当研究室の島津洋一郎教授が日本原子力学会第38回(平成18年度)「学術業績賞」を受賞(2007年3月) 「PWRのキセノン振動制御法の高度化に関する研究」我が国および世界各国で商業運転されている加圧水型原子炉(以下PWR)の安定運転に大きく貢献した理論的研究の学術業績に対して授与された、大変栄誉あるものです。





当研究室の奈良林直教授は、海外の原子力規制や保全技術の調査を行うと共に、地球環境保全やプルサーマルによる使用済み燃料のリサイクルの必要性について道内各地で講演しています。



 



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