原子炉工学研究室の概要


原子炉物理学の立場から、原子力工学、そして原子力以外の工学の高度化に貢献する


 原子力エネルギーシステムにおいて、エネルギーを取り出す機構である「原子炉」に関わる工学分野を原子炉工学と呼びます。その中に、原子炉内での中性子の輸送(移動)と原子核との相互作用、そして核分裂連鎖反応を理解するための「原子炉物理」(通称、炉物理)という技術分野があります。原子力エネルギーシステムの高度化や、革新的なシステムの創出において、炉物理の技術を欠くことは出来ません。

当研究室では、炉物理の重要なテーマである、中性子集団の振る舞いを記述するBoltzmann中性子輸送方程式や、原子核壊変や中性子-原子核反応による核種変換を記述するBateman方程式を対象とした数理モデルや計算アルゴリズムの研究を行うとともに、そこで得られた研究成果を独自に開発しているソフトウェアに実装するところまで行っています。また、そのようにして日々開発を進めているソフトウェアを用いた原子力システムの設計研究もこれから行っていく計画です。

また、原子炉内の中性子集団が従うBoltzmann輸送方程式、そしてその近似式である拡散方程式は、炉物理のみならず、他の多くの工学分野で扱われています。我々は、炉物理の分野で培われた技術を、他分野、例えば、放射性廃棄物処分場の熱的評価や量子ビームの医療応用、熱輻射の計算などに応用する研究も行っています。

以上のように、炉物理の研究を通して、原子力工学、そして原子力以外の工学の高度化に貢献することを、研究室の目標としています。  

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